ホピ族と近隣部族


ホピ HOPI

古代プエブログループから派生した部族の一つでかつてはMoki/Moquiと呼ばれていました。 Hopiとは「平和の人々」を意味し、戦いを好まずメサ(台地)の上に村を形成し生活していました。 現在のホピ族はアリゾナ州のホピメサ周辺に小さな居留区を持ち、周囲はナヴァホの居留区に囲まれています。人口はわずか12000人ほどです。 ファースト、セカンド、サードメサと呼ばれる3つのメサ周辺に12の村があり、密集した住宅地を形成しています。 ズニ族とは近い位置関係にある為互いに影響しあっており、ホピの儀式には多くのズニのカチナも登場します。現在は第4の世界と言われており、第1の世界は火で、第2の世界は氷で、第3の世界は洪水で滅びと考えられています。カチナを崇拝し、一年を通して様々な儀式を行います。

現在のホピ族の生活は2極化しつつあります。 収入がある世帯は白人同様の家に住み、車や携帯電話も持つようになりましたが、昔から続くメサの上に建てられた日干し煉瓦の家に住み、昔ながらの生活を営む世帯も少なくありません。主な収入源は男性はカチナドールやシルバーアクセサリー制作、女性はバスケットや織物などの制作です。中でもカチナドールはシルバーアクセサリー等に比べ手軽なことから数多くの制作者が存在しますが(人口の2割近くと推定されます)、その品質にはかなりのばらつきがあります。質の高いものを制作できる実力を持っている者は生活も安定しますが、素質のない者は安値でも売れずかなり厳しい生活を強いられているようです。観光客相手に売られているカチナドールは質が悪いうえ、価格も高いものが多い傾向にあります。その他近隣の町で働く者もいますが、あまり良い仕事はないようです。

ナバホ NAVAJO

ナヴァホ語ではディネ(Dine)と言い、「人々」を意味します。調和を重んじる部族で、ホピ族のような雨乞いや豊作祈願のような儀式はしません。近隣部族との文化的接点は少なく独自の神を崇拝し、現在は第5の世界だと考えています。アリゾナ州を中心にニューメキシコ州、ユタ州に跨がる巨大な居留区を持ち、22万人以上が生活しています。ホピとは対照的にプライバシーを重んじるナヴァホは気ままな場所に居を構える傾向があり、そのため人探しは容易ではありません。若者は移動式のトレーラーハウスを好みの場所に設置し、住居とするスタイルが主流のようです。ナヴァホとホピの間には長い間対立があり、現在も尾を引いている部分があります。 首都はアリゾナ州ウインドーロックにあり独立国家に等しい自治権を持っています。生活水準は高いとは言えず、主な収入源は牧羊、銀細工、織物、そしてカチナドールなどの工芸品です。

ズニ ZUNI

ニューメキシコ州に19あるプエブロと呼ばれるグループの中で最大の部族ですが、それでも人口はわずか10000人ほどです。ニューメキシコ州の西端に小さい居留区を持っています。この場所はズニにとってミドルプレイス(世界の中心の地)であり、第4の世界に出現してから長い旅の末、この地に辿り着いたとされています。ホピ族とは地理的に近いため歴史的に見ても互いに影響を受け合っています。 ホピ族同様シルバーアクセサリー等が主な産業ですが、ホピ族やナヴァホ族と比べ、地理的に不利なためあまり有名ではありません。

プエブロ Pueblo

ニューメキシコ州のリオグランデ川流域に点在する小さい居留区を持つ少数部族の総称。アナサジ族(古代プエブロ族)の末裔でホピやズニと非常に近い文化を持っています。ほとんどの部族は混血化が進み、伝統も廃れてきてしまいました。特に大都市近辺の部族には観光客相手の商売に特化する傾向があります。ラグナ族などごく一部の部族にはカチナドールを制作するアーティストも存在します。
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